diff --git "a/\346\227\245\346\234\254\345\233\275\346\206\262\346\263\225.md" "b/\346\227\245\346\234\254\345\233\275\346\206\262\346\263\225.md" index 7dab5c8..affe7bc 100644 --- "a/\346\227\245\346\234\254\345\233\275\346\206\262\346\263\225.md" +++ "b/\346\227\245\346\234\254\345\233\275\346\206\262\346\263\225.md" @@ -1,53 +1,110 @@ -# 昭和二十一年憲法 +# (日本のこころ)日本国憲法草案 ## 日本国憲法 -日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。 +日本国は、古来、天皇がしろしめす国であり、国民は、一人一人を大切にする和の精神をもって、その悠久の歴史を紡いできた。 -日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。 +日本国民は、四囲を海に囲まれ、四季が織りなす美しい風土の中で、時に自然の厳しさと向き合いながら、自然との共生を重んじ、相手を思いやる文化を育んできた。 -われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。 +日本国民は、明治維新を経て、衆議を重んじる伝統に加えて、欧米諸国の英知を集めて、大日本帝国憲法を制定し、立憲君主国家を誕生させ、近代国家としての発展を目指してきた。 -日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。 +先の敗戦の後、占領下において制定された日本国憲法の施行以来、七十年が過ぎ、日本をめぐる国際環境は大きく変わり、新たな対応が求められている。日本国民は、ここに新たな時代にふさわしい憲法を制定することを決意した。 + +日本国民は、本来日本人が持つ和と公正の精神、人間尊重の原理の上に立って、国家の発展を図り、国民の幸福と利益を増進し、家族を大切にする、明るく温かな社会を建設することを誓う。 + +日本国民は、法と正義を基調とする世界平和を希求し、各国間の交流に積極的に力を尽くすとともに、あらゆる力を注いで、世界平和の実現に寄与することを誓う。 + +これらの崇高な理想を実現し、将来の世代に引き継ぐ決意を込め、われわれの手により、この憲法を制定する。 + + +## 序章 日本国のかたち + +### (日本国の象徴)第一条 + +日本国は、天皇を日本国及び日本国民統合の象徴とする立憲君主国家である。 + +### (国民主権)第二条 + +主権は、国民に存する。国民は、その代表を通じて、この憲法の定めるところにより、主権を行使する。 + +### (人間の尊厳及び幸福追求権)第三条 + +すべて国民は、人間としての尊厳を保障される。生命、自由及び幸福を追求する国民の権利は、公共の福祉に反しない限り、最大限尊重されなければならない。 + +### (世界平和の実現)第四条 + +日本国は、法と正義を基調とする世界平和の実現を国是とする。 + +#### 2 + +日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守する。 + +### (国の任務及び国民の責務)第五条 + +国は、主権と独立を守り、国内の平穏を維持し、国民の生命及び財産を守らなければならない。 + +#### 2 + +国民は、国の独立を守り、公の秩序を維持するよう努めなければならない。 + +### (歴史、伝統及び文化の尊重)第六条 + +国民は、日本の歴史、伝統及び文化を尊重しつつ、文化芸術の振興及び国際交流に努め、豊かな国民生活及び活力ある社会の実現に貢献する。 + +### (日本国民の要件)第七条 + +日本国民の要件は、これを法律で定める。 + +### (日本国の領土)第八条 + +日本国の領土は、日本列島及びその附属島嶼(しょ)である。 +  +## (国旗及び国歌)第九条 + +国旗は日章旗であり、国歌は君が代である。 ## 第一章 天皇 -### 第一条 +### (天皇の地位)第十条 + +天皇は、日本国の元首であり、常に国民と共にある。 + +### (皇位の継承)第十一条 -天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。 +皇位は、世襲のものであって、皇室典範の定めるところにより、これを継承する。 -### 第二条 +### (天皇の国事行為、公的行為及び内閣の責任)第十二条 -皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。 +天皇は、内閣の補佐により、この憲法の定める国事行為及び公的行為を行い、内閣が、その責任を負う。 -### 第三条 +#### 2 -天皇の国事に関するすべての行為には、内閣の助言と承認を必要とし、内閣が、その責任を負ふ。 +天皇は、皇室典範の定めるところにより、国事行為及び公的行為の全部又は一部を委任することができる。この場合には、前項の規定を準用する。 -### 第四条 +### (天皇の任命権)第十三条 -天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない。 +天皇は、国事行為として、次に掲げる任命を行う。 -#### ○2 +#### 一 -天皇は、法律の定めるところにより、その国事に関する行為を委任することができる。 +国会の指名に基づき、内閣総理大臣を任命すること。 -### 第五条 +#### 二 -皇室典範の定めるところにより摂政を置くときは、摂政は、天皇の名でその国事に関する行為を行ふ。この場合には、前条第一項の規定を準用する。 +衆議院の指名に基づき、衆議院議長を任命すること。 -### 第六条 +#### 三 -天皇は、国会の指名に基いて、内閣総理大臣を任命する。 +参議院の指名に基づき、参議院議長を任命すること。 -#### ○2 +#### 四 -天皇は、内閣の指名に基いて、最高裁判所の長たる裁判官を任命する。 +内閣の指名に基づき、最高裁判所の長たる裁判官を任命すること。 -### 第七条 +### (その他の国事行為及び公的行為)第十四条 -天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。 +天皇は、前条に掲げるもののほか、次に掲げる国事行為を行う。 #### 一 @@ -63,464 +120,579 @@ #### 四 -国会議員の総選挙の施行を公示すること。 +衆議院議員の総選挙及び参議院議員の通常選挙の施行を公示すること。 #### 五 -国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証すること。 +内閣総理大臣の指名に基づき、国務大臣を任命すること。 #### 六 -大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を認証すること。 +内閣の指名に基づき、法律の定める国家公務員を任命すること。 #### 七 -栄典を授与すること。 +批准書及び法律の定めるその他の外交文書を交付すること。 #### 八 -批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること。 +全権委任状並びに大使及び公使の信任状を交付すること。 #### 九 -外国の大使及び公使を接受すること。 +外国の大使及び公使を接受し、その信任状を受理すること。 #### 十 -儀式を行ふこと。 +栄典を授与すること。 + +#### 十一 + +恩赦を行うこと。 + +#### 十二 + +元号を公布すること。 + +#### 十三 + +儀式を主宰すること。 + +#### 2 + +天皇は、宮中祭祀(し)、国際的儀礼、国家的儀式及び行事への参加その他の公的行為を行う。 + +### (摂政)第十五条 + +皇室典範の定めるところにより摂政を置くときは、摂政は、天皇の名で、その国事行為及び公的行為を行う。この場合には、第十二条第一項の規定を準用する。 + +### (皇室の経済)第十六条 + +皇室の費用は、法律の定めるところにより、予算案に計上して、国会の議決を経なければならない。 + +#### 2 + +皇室の財産に関する事項は、法律でこれを定める。 -### 第八条 -皇室に財産を譲り渡し、又は皇室が、財産を譲り受け、若しくは賜与することは、国会の議決に基かなければならない。 +## 第二章 平和の維持 +### 第十七条 + +日本国は、国権の発動たる戦争と武力による威嚇又は武力の行使については、自衛の場合を除き、永久にこれを放棄する。 -## 第二章 戦争の放棄 +#### 2 -### 第九条 +日本国は、その主権と独立を守り、国際的な平和活動に協力するため、軍を保持する。 -日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。 +#### 3 -#### ○2 +軍の最高指揮権は、内閣総理大臣に属する。軍に対しては、政治統制の原則が確保されなければならない。 -前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。 +#### 4 + +軍の組織及び統制に関する事項は、法律でこれを定める。 ## 第三章 国民の権利及び義務 -### 第十条 +### (基本的人権の享有)第十八条 -日本国民たる要件は、法律でこれを定める。 +すべて国民は、基本的人権を享有する。この憲法が保障する権利及び自由の本質は、これを侵すことができない。 -### 第十一条 +### (権利及び自由の尊重及び濫用の禁止)第十九条 -国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。 +この憲法が保障する権利及び自由は、公共の福祉に反しない限り、立法その他国政の上で、最大限尊重される。 -### 第十二条 +#### 2 -この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。 +国民は、この憲法が保障する権利及び自由を、濫用してはならないのであって、不断の努力によってこれを保持し、互いにその権利及び自由を尊重しなければならない。 -### 第十三条 +### (法の下の平等)第二十条 -すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。 +国民は、法の下に平等であって、信条、性別、人種、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。 -### 第十四条 +### (思想及び良心の自由)第二十一条 -すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。 +思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。 -#### ○2 +### (信教の自由及び政教分離)第二十二条 -華族その他の貴族の制度は、これを認めない。 +信教の自由は、これを保障する。 -#### ○3 +#### 2 -栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。 +いかなる宗教団体も、国からの特権を受け、政治の支配若しくは政治への介入を行い、又は政治上の権力を行使してはならない。 -### 第十五条 +#### 3 -公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。 +何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。 -#### ○2 +#### 4 -すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。 +国及び地方自治体は、特定の宗教の布教又は宣伝のための宗教教育、宗教的活動及び財政的支援を行ってはならない。ただし、社会的儀礼又は習俗的行為の範囲を超えないものについては、この限りでない。 -#### ○3 +### (学問の自由)第二十三条 -公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。 +学問の自由は、これを保障する。大学の自治は、これを尊重しなければならない。 -#### ○4 +### (表現の自由)第二十四条 -すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。 +言論、出版、報道その他一切の表現の自由は、これを保障する。 -### 第十六条 +#### 2 -何人も、損害の救済、公務員の罷免、法律、命令又は規則の制定、廃止又は改正その他の事項に関し、平穏に請願する権利を有し、何人も、かかる請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない。 +検閲は、これをしてはならない。 -### 第十七条 +### (集会及び結社の自由)第二十五条 -何人も、公務員の不法行為により、損害を受けたときは、法律の定めるところにより、国又は公共団体に、その賠償を求めることができる。 +集会及び結社の自由は、これを保障する。 -### 第十八条 +### (私生活、個人情報の保護及び通信の秘密)第二十六条 -何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。 +国民は、みだりに私生活を侵害されない。 -### 第十九条 +#### 2 -思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。 +国は、その保有する個人情報を適正に保護しなければならない。 -### 第二十条 +#### 3 -信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。 +通信の秘密は、これを侵してはならない。 -#### ○2 +### (家族、婚姻及び子の監護)第二十七条 -何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。 +家族は、社会の自然的かつ基礎的単位であって、国の保護を受ける。家族は、相互の信頼と協力により、維持されなければならない。 + +#### 2 + +婚姻は、両性の合意に基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本とする。 + +#### 3 + +財産権、相続その他の家族及び婚姻に関する事項については、人間の尊厳、夫婦の本質的平等及び家族の意義を尊重して、法律を制定しなければならない。 + +#### 4 + +子を監護し、教育することは、保護者の権利であり、義務である。国は、保護者による子の監護及び教育に対して、必要な援助を与えるものとする。 + +### (財産権)第二十八条 + +財産権は、これを保障する。 -#### ○3 +#### 2 -国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。 +財産権の内容は、公共の福祉に適合するように、法律でこれを定める。 -### 第二十一条 +#### 3 -集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。 +私有財産は、法律の定めるところにより、適正な手続及び正当な補償の下に、公共のために用いることができる。 -#### ○2 +#### 4 -検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。 +国は、知的財産の保護に努めなければならない。 -### 第二十二条 +### (納税の義務)第二十九条 -何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。 +国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負う。 -#### ○2 +### (居住、移転及び職業選択の自由)第三十条 -何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。 +国民は、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。 -### 第二十三条 +#### 2 -学問の自由は、これを保障する。 +国民は、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。 -### 第二十四条 +### (生存権)第三十一条 -婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。 +国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。 -#### ○2 +#### 2 -配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。 +国は、国民生活のあらゆる分野において、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。 -### 第二十五条 +### (教育を受ける権利及び義務)第三十二条 -すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。 +国は、この憲法の理念に基づき、豊かな人間性と創造性を備えた人間の育成を期するとともに、伝統を継承し、新しい文化の創造を目指す教育を行う。 -#### ○2 +#### 2 -国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。 +国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、等しく教育を受ける権利を有する。 -### 第二十六条 +#### 3 -すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。 +国民は、法律の定めるところにより、その保護する子に普通教育を受けさせる義務を負う。 -#### ○2 +#### 4 -すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。 +国は、義務教育に必要な授業料、教科書、教材、給食その他全てを無償としなければならない。 -### 第二十七条 +### (環境権)第三十三条 -すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。 +国民は、法律の定めるところにより、良好な自然環境を享受する権利を有し、その保全に努める義務を負う。 -#### ○2 +#### 2 -賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。 +国は、良好な自然環境及び生態系の保全に努めなければならない。 -#### ○3 +### (勤労の権利及び義務)第三十四条 + +国民は、勤労の権利を有し、義務を負う。 + +#### 2 + +勤労者の団結権、団体交渉権及び団体行動権は、これを保障する。 + +#### 3 + +勤労条件に関する基準は、勤労者が良好な勤労条件を享受できるように法律でこれを定めなければならない。 + +#### 4 児童は、これを酷使してはならない。 -### 第二十八条 +### (裁判を受ける権利)第三十五条 + +国民は、裁判所において、公平かつ迅速な裁判を受ける権利を有する。 + +### (適正な手続)第三十六条 -勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。 +国民は、法律の定める適正な要件及び手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪われ、又はその他の刑罰を科せられない。 -### 第二十九条 +#### 2 -財産権は、これを侵してはならない。 +国民は、実行の時に適法であった行為又は既に無罪とされた行為については、刑事上の責任を問われない。 -#### ○2 +#### 3 -財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。 +国民は、同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任を問われない。 -#### ○3 +#### 4 -私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。 +国民は、現行犯として逮捕される場合を除き、正当な令状によらなければ、逮捕されない。 -### 第三十条 +#### 5 -国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。 +国民は、正当な理由を直ちに告げられ、かつ、直ちに弁護人に依頼する権利を与えられなければ、抑留又は拘禁されない。 -### 第三十一条 +#### 6 -何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。 +国民は、現行犯として逮捕される場合を除き、正当な令状によらなければ、その住居への侵入並びに書類及び所持品の捜索及び押収を受けない。 -### 第三十二条 +#### 7 -何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。 +被疑者及び被告人は、弁護人を自ら依頼することができる。被疑者及び被告人が自らこれを依頼することができないときは、国でこれを付する。 -### 第三十三条 +#### 8 -何人も、現行犯として逮捕される場合を除いては、権限を有する司法官憲が発し、且つ理由となつてゐる犯罪を明示する令状によらなければ、逮捕されない。 +何人も、自己に不利益な供述を強要されない。正当な方法によらない自白は、証拠とすることができず、かつ、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合は、有罪とされず、刑罰を科せられない。 -### 第三十四条 +#### 9 -何人も、理由を直ちに告げられ、且つ、直ちに弁護人に依頼する権利を与へられなければ、抑留又は拘禁されない。又、何人も、正当な理由がなければ、拘禁されず、要求があれば、その理由は、直ちに本人及びその弁護人の出席する公開の法廷で示されなければならない。 +公務員による拷問及び残虐な刑罰は、これを禁ずる。 -### 第三十五条 +#### 10 -何人も、その住居、書類及び所持品について、侵入、捜索及び押収を受けることのない権利は、第三十三条の場合を除いては、正当な理由に基いて発せられ、且つ捜索する場所及び押収する物を明示する令状がなければ、侵されない。 +何人も、犯罪による処罰の場合を除き、その意に反する苦役に服させられない。 -#### ○2 +### (刑事補償)第三十七条 -捜索又は押収は、権限を有する司法官憲が発する各別の令状により、これを行ふ。 +国民は、抑留又は拘禁された後、裁判の結果無罪となったときは、法律の定めるところにより、国にその補償を求めることができる。 -### 第三十六条 +### (犯罪被害者の権利)第三十八条 -公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる。 +犯罪被害者及びその家族又は遺族は、法律の定めるところにより、国からの保護を受けることができる。 -### 第三十七条 +### (参政権)第三十九条 -すべて刑事事件においては、被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する。 +国民は、政治活動の権利及び自由を有し、公務員を選定し、及びこれを罷免する権利を有する。 -#### ○2 +#### 2 -刑事被告人は、すべての証人に対して審問する機会を充分に与へられ、又、公費で自己のために強制的手続により証人を求める権利を有する。 +公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない。 -#### ○3 +#### 3 -刑事被告人は、いかなる場合にも、資格を有する弁護人を依頼することができる。被告人が自らこれを依頼することができないときは、国でこれを附する。 +公務員の選挙については、日本国籍を有する成年者による普通選挙を保障する。 -### 第三十八条 +#### 4 -何人も、自己に不利益な供述を強要されない。 +投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問われない。 -#### ○2 +### (公務員の労働基本権の制限)第四十条 -強制、拷問若しくは脅迫による自白又は不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白は、これを証拠とすることができない。 +公務員の団結権、団体交渉権及び団体行動権については、その職務の公共性により、法律で制限することができる。 -#### ○3 +#### 2 -何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされ、又は刑罰を科せられない。 +行政の中立的運営の確保を必要とする公務員については、政治活動の権利及び自由の全部又は一部を法律で制限することができる。 -### 第三十九条 +### (政党)第四十一条 -何人も、実行の時に適法であつた行為又は既に無罪とされた行為については、刑事上の責任を問はれない。又、同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任を問はれない。 +政党は、日本国民の政治的意思の形成を促し、政策を通じて国政に資する政治組織として、その設立及び活動の自由を保障される。 -### 第四十条 +#### 2 -何人も、抑留又は拘禁された後、無罪の裁判を受けたときは、法律の定めるところにより、国にその補償を求めることができる。 +政党は、この憲法その他の法令を遵守しなければならない。 + +#### 3 + +政党に関する事項は、法律でこれを定める。 + +### (外国人の権利及び自由)第四十二条 + +外国人は、その性質上、日本国民のみに認められるものを除き、この憲法で保障する権利及び自由を享有する。 ## 第四章 国会 -### 第四十一条 +### (立法権及び両院制)第四十三条 + +立法権は、国会に属する。 + +#### 2 + +国会は、衆議院及び参議院で構成する。 + +### (両議院の組織)第四十四条 -国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。 +両議院は、日本国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。 -### 第四十二条 +#### 2 -国会は、衆議院及び参議院の両議院でこれを構成する。 +衆議院の議員の定数は、法律でこれを定める。 -### 第四十三条 +#### 3 -両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。 +参議院は、各都道府県から選挙された二人の議員と全国から選挙された議員でこれを組織し、その定数は、法律でこれを定める。 -#### ○2 +### (議員及び選挙人の資格)第四十五条 -両議院の議員の定数は、法律でこれを定める。 +両議院の議員及びその選挙人の資格は、信条、性別、人種、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によって差別してはならない。 -### 第四十四条 +#### 2 -両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。但し、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によつて差別してはならない。 +両議院の議員及び法律の定める国家公務員は、日本国籍のみを有する者に限る。 -### 第四十五条 +#### 3 -衆議院議員の任期は、四年とする。但し、衆議院解散の場合には、その期間満了前に終了する。 +第一項の選挙人の資格は、日本国民に限る。 -### 第四十六条 +#### 4 + +前三項に規定するもののほか、両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。 + +### (議員の任期)第四十六条 + +衆議院議員の任期は、四年とする。ただし、衆議院が解散された場合には、その期間満了前に終了する。 + +#### 2 参議院議員の任期は、六年とし、三年ごとに議員の半数を改選する。 -### 第四十七条 +#### 3 + +衆議院議員の任期満了による総選挙及び参議院議員の通常選挙は、それぞれ任期満了前三十日以内に行わなければならない。 + +### (選挙に関する事項)第四十七条 選挙区、投票の方法その他両議院の議員の選挙に関する事項は、法律でこれを定める。 -### 第四十八条 +#### 2 + +衆議院議員の選挙区は、人口を基本とし、行政区画、地理的状況その他の事情を総合勘案して、これを定めなければならない。 + +### (議員の兼職の禁止)第四十八条 -何人も、同時に両議院の議員たることはできない。 +何人も、同時に両議院の議員となることはできない。 -### 第四十九条 +### (議員の歳費)第四十九条 両議院の議員は、法律の定めるところにより、国庫から相当額の歳費を受ける。 -### 第五十条 +### (議員の不逮捕特権)第五十条 -両議院の議員は、法律の定める場合を除いては、国会の会期中逮捕されず、会期前に逮捕された議員は、その議院の要求があれば、会期中これを釈放しなければならない。 +両議院の議員は、法律の定める場合を除き、国会の会期中逮捕されず、会期前に逮捕された議員は、その議院の要求があれば、会期中これを釈放しなければならない。 -### 第五十一条 +### (議員の発言等の免責)第五十一条 -両議院の議員は、議院で行つた演説、討論又は表決について、院外で責任を問はれな -い。 +両議院の議員は、議院で行った演説、討論又は表決について、院外で責任を問われない。 -### 第五十二条 +### (通常国会及び臨時国会)第五十二条 -国会の常会は、毎年一回これを召集する。 +通常国会は、毎年一回これを召集する。 -### 第五十三条 +#### 2 -内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。 +通常国会の会期は、法律でこれを定める。  -### 第五十四条 +#### 3 -衆議院が解散されたときは、解散の日から四十日以内に、衆議院議員の総選挙を行ひ、その選挙の日から三十日以内に、国会を召集しなければならない。 +内閣は、臨時国会の召集を決定することができる。いずれかの議院の総議員の三分の一以上の要求があったときは、要求があった日から二十日以内に臨時国会を召集しなければならない。ただし、要求があった日から四十日以内に通常国会又は特別国会が召集されるときは、この限りでない。 -#### ○2 +### (衆議院の解散等)第五十三条 -衆議院が解散されたときは、参議院は、同時に閉会となる。但し、内閣は、国に緊急の必要があるときは、参議院の緊急集会を求めることができる。 +衆議院が解散されたときは、解散の日から四十日以内に、衆議院議員の総選挙を行い、その選挙の日から三十日以内に、特別国会を召集しなければならない。 -#### ○3 +#### 2 -前項但書の緊急集会において採られた措置は、臨時のものであつて、次の国会開会の後十日以内に、衆議院の同意がない場合には、その効力を失ふ。 +衆議院が解散されたときは、参議院は、同時に閉会となる。ただし、内閣は、緊急の必要があるときは、参議院の緊急集会を求めることができる。 -### 第五十五条 +#### 3 -両議院は、各々その議員の資格に関する争訟を裁判する。但し、議員の議席を失はせるには、出席議員の三分の二以上の多数による議決を必要とする。 +前項ただし書の緊急集会において採られた措置は、次の国会開会後十日以内に、衆議院の同意がない場合には、その効力を失う。 -### 第五十六条 +### (議員の資格審査)第五十四条 + +両議院は、各々その議員の資格に関し争いがあるときは、これについて審査し、議決する。ただし、議員の議席を失わせるには、出席議員の三分の二以上の多数による議決を必要とする。 + +### (定足数及び表決)第五十五条 両議院は、各々その総議員の三分の一以上の出席がなければ、議事を開き議決することができない。 -#### ○2 +#### 2 + +両議院の議決は、この憲法に特別の定めのある場合を除いては、出席議員の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。 + +### (会議及び会議録の公開)第五十六条 -両議院の議事は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、出席議員の過半数でこれを決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。 +両議院の会議は、公開とする。ただし、出席議員の三分の二以上の多数で議決したときは、秘密会を開くことができる。 -### 第五十七条 +#### 2 -両議院の会議は、公開とする。但し、出席議員の三分の二以上の多数で議決したときは、秘密会を開くことができる。 +両議院は、各々その会議の記録を保存し、秘密会の記録の中で特に秘密を要すると認められるもの以外は、これを公開しなければならない。 -#### ○2 +#### 3 -両議院は、各々その会議の記録を保存し、秘密会の記録の中で特に秘密を要すると認められるもの以外は、これを公表し、且つ一般に頒布しなければならない。 +出席議員の五分の一以上の要求があったときは、各議員の表決は、これを会議録に記載しなければならない。 -#### ○3 +### (役員の選任並びに議院規則及び懲罰)第五十七条 -出席議員の五分の一以上の要求があれば、各議員の表決は、これを会議録に記載しなければならない。 +両議院は、各々その議長を指名するとともに、その他の役員を選任する。 -### 第五十八条 +#### 2 -両議院は、各々その議長その他の役員を選任する。 +両議院は、各々その会議その他の手続及び内部の規律に関する規則を定め、又は院内の秩序を乱した議員を懲罰することができる。ただし、議員を除名するには、出席議員の三分の二以上の多数による議決を必要とする。 -#### ○2 +### (法律案の議決及び衆議院の優越)第五十八条 -両議院は、各々その会議その他の手続及び内部の規律に関する規則を定め、又、院内の秩序をみだした議員を懲罰することができる。但し、議員を除名するには、出席議員の三分の二以上の多数による議決を必要とする。 +法律案は、この憲法に特別の定めのある場合を除き、両議院で可決したとき法律となる。 -### 第五十九条 +#### 2 -法律案は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、両議院で可決したとき法律となる。 +衆議院で可決し、参議院でこれと異なった議決をした法律案又は参議院で可決し、衆議院でこれと異なった議決をした法律案は、衆議院で出席議員の五分の三以上の多数で再び可決したときは、法律となる。 -#### ○2 +#### 3 -衆議院で可決し、参議院でこれと異なつた議決をした法律案は、衆議院で出席議員の三分の二以上の多数で再び可決したときは、法律となる。 +前項の規定は、法律の定めるところにより、衆議院又は参議院が、両議院の協議会を開くことを求めることを妨げない。 -#### ○3 +#### 4 -前項の規定は、法律の定めるところにより、衆議院が、両議院の協議会を開くことを求めることを妨げない。 +参議院が、衆議院の可決した法律案を受け取った後、国会休会中の期間を除いて三十日以内に、議決しないときは、衆議院は、参議院がその法律案を否決したものとみなすことができる。 -#### ○4 +### (予算案に関する衆議院の優越)第五十九条 -参議院が、衆議院の可決した法律案を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて六十日以内に、議決しないときは、衆議院は、参議院がその法律案を否決したものとみなすことができる。 +予算案は、先に衆議院に提出しなければならない。 -### 第六十条 +#### 2 -予算は、さきに衆議院に提出しなければならない。 +前項の予算案について、参議院で衆議院と異なった議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は参議院が、衆議院の可決した予算案を受け取った後、国会休会中の期間を除いて三十日以内に、議決しないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。 -#### ○2 +### (条約の承認に関する衆議院の優越)第六十条 -予算について、参議院で衆議院と異なつた議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は参議院が、衆議院の可決した予算を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて三十日以内に、議決しないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。 +条約の締結に必要な国会の承認については、前条の規定を準用する。 -### 第六十一条 +### (国家公務員の任命に関する参議院の優越)第六十一条 -条約の締結に必要な国会の承認については、前条第二項の規定を準用する。 +内閣は、法律の定める国家公務員等の任命について、両議院に同意を求めなければならない。 -### 第六十二条 +#### 2 -両議院は、各々国政に関する調査を行ひ、これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる。 +前項の同意の求めについて、参議院と衆議院とが異なった議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は参議院が同意した後、国会休会中の期間を除いて三十日以内に、衆議院が、同意又は不同意の議決をしないときは、参議院の同意を両議院の同意とする。 -### 第六十三条 +### (議院の国政調査権)第六十二条 -内閣総理大臣その他の国務大臣は、両議院の一に議席を有すると有しないとにかかはらず、何時でも議案について発言するため議院に出席することができる。又、答弁又は説明のため出席を求められたときは、出席しなければならない。 +両議院は、各々国政に関する調査を行い、これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる。 -### 第六十四条 +### (裁判官訴追委員会及び弾劾裁判所)第六十三条 -国会は、罷免の訴追を受けた裁判官を裁判するため、両議院の議員で組織する弾劾裁判所を設ける。 +裁判官の罷免の訴追を行うため、衆議院に、衆議院議員で組織する裁判官訴追委員会を設ける。 -#### ○2 +#### 2 -弾劾に関する事項は、法律でこれを定める。 +罷免の訴追を受けた裁判官を裁判するため、参議院に、参議院議員で組織する裁判官弾劾裁判所を設ける。 + +#### 3 + +前二項に定めるもののほか、弾劾に関する事項は、法律でこれを定める。 ## 第五章 内閣 -### 第六十五条 +### (行政権)第六十四条 行政権は、内閣に属する。 -### 第六十六条 +### (内閣の組織及び国会に対する連帯責任)第六十五条 内閣は、法律の定めるところにより、その首長たる内閣総理大臣及びその他の国務大臣でこれを組織する。 -#### ○2 +#### 2 + +内閣総理大臣その他の国務大臣及び法律の定める国家公務員は、現役の軍人であってはならない。 + +#### 3 -内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない。 +全ての国務大臣及び法律の定める国家公務員は、日本国籍のみを有する者に限る。 -#### ○3 +#### 4 -内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ。 +内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負う。 -### 第六十七条 +### (内閣総理大臣の指名)第六十六条 -内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の議決で、これを指名する。この指名は、他のすべての案件に先だつて、これを行ふ。 +内閣総理大臣は、衆議院議員の中から国会の議決でこれを指名する。この指名は、他の全ての案件に先立ってこれを行う。 -#### ○2 +#### 2 -衆議院と参議院とが異なつた指名の議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は衆議院が指名の議決をした後、国会休会中の期間を除いて十日以内に、参議院が、指名の議決をしないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。 +衆議院と参議院とが異なった指名の議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は衆議院が指名の議決をした後、国会休会中の期間を除いて十日以内に、参議院が、指名の議決をしないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。 -### 第六十八条 +### (国務大臣の指名及び罷免)第六十七条 -内閣総理大臣は、国務大臣を任命する。但し、その過半数は、国会議員の中から選ばれなければならない。 +内閣総理大臣は、国務大臣を指名する。その過半数は、国会議員の中から指名しなければならない。 -#### ○2 +#### 2 内閣総理大臣は、任意に国務大臣を罷免することができる。 -### 第六十九条 +### (内閣の不信任)第六十八条 -内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、十日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない。 +内閣は、衆議院が不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、十日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない。 -### 第七十条 +### (内閣の総辞職)第六十九条 -内閣総理大臣が欠けたとき、又は衆議院議員総選挙の後に初めて国会の召集があつたときは、内閣は、総辞職をしなければならない。 +内閣総理大臣が欠けたとき、又は衆議院議員の総選挙の後に初めて国会の召集があったときは、内閣は、総辞職をしなければならない。 -### 第七十一条 +### (総辞職後の内閣)第七十条 -前二条の場合には、内閣は、あらたに内閣総理大臣が任命されるまで引き続きその職務を行ふ。 +前二条の場合には、内閣は、新たに内閣総理大臣が任命されるまでの間、引き続き、その職務を行う。 -### 第七十二条 +### (内閣総理大臣の職務)第七十一条 内閣総理大臣は、内閣を代表して議案を国会に提出し、一般国務及び外交関係について国会に報告し、並びに行政各部を指揮監督する。 -### 第七十三条 +#### 2 -内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。 +内閣総理大臣が欠けたときその他これに準ずる場合として法律で定める場合は、内閣総理大臣があらかじめ指定する国務大臣が、臨時に、その職務を行う。 + +### (内閣の職務)第七十二条 + +内閣は、他の一般行政事務のほか、次に掲げる事務を行う。 #### 一 -法律を誠実に執行し、国務を総理すること。 +法律及び予算を執行し、国務を総理すること。  #### 二 @@ -528,226 +700,273 @@ #### 三 -条約を締結すること。但し、事前に、時宜によつては事後に、国会の承認を経ることを必要とする。 +条約を締結すること。ただし、事前又は事後に、国会の承認を得なければならない。 #### 四 -法律の定める基準に従ひ、官吏に関する事務を掌理すること。 +法律の定める基準に従い、国家公務員に関する事務を処理すること。 #### 五 -予算を作成して国会に提出すること。 +憲法改正案、法律案及び予算案を作成して国会に提出すること。 #### 六 -この憲法及び法律の規定を実施するために、政令を制定すること。但し、政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない。 +この憲法及び法律を執行するため、政令を制定すること。ただし、特にその法律の委任がある場合を除き、義務を課し、又は権利を制限することができない。 -#### 七 +### (国務大臣の特権)第七十三条 -大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を決定すること。 +国務大臣は、その在任中、内閣総理大臣の同意がなければ、公訴を提起されない。ただし、国務大臣でなくなった後に、公訴を提起することを妨げない。 -### 第七十四条 -法律及び政令には、すべて主任の国務大臣が署名し、内閣総理大臣が連署することを必要とする。 +## 第六章 裁判所 -### 第七十五条 +### (司法権の独立)第七十四条 -国務大臣は、その在任中、内閣総理大臣の同意がなければ、訴追されない。但し、これがため、訴追の権利は、害されない。 +司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。 +#### 2 -## 第六章 司法 +司法権の独立は、これを侵してはならない。 -### 第七十六条 +#### 3 -すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。 +全ての裁判官は、この憲法、法律及び裁判官としての良心に従って、その職権を行使する。 -#### ○2 +### (最高裁判所の規則制定権)第七十五条 -特別裁判所は、これを設置することができない。行政機関は、終審として裁判を行ふことができない。 +最高裁判所は、裁判に関する手続、弁護人、裁判所の内部規律及び司法事務処理に関する事項について、規則を定める権限を有する。 -#### ○3 +#### 2 -すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される。 +検察官、弁護人その他裁判に関わる者として法律の定める者は、最高裁判所の定める規則に従わなければならない。 -### 第七十七条 +#### 3 -最高裁判所は、訴訟に関する手続、弁護士、裁判所の内部規律及び司法事務処理に関する事項について、規則を定める権限を有する。 +最高裁判所は、下級裁判所に関する規則を定める権限を、下級裁判所に委任することができる。 -#### ○2 +### (裁判官の資格及び身分保障)第七十六条 -検察官は、最高裁判所の定める規則に従はなければならない。 +全ての裁判官及び法律の定める裁判所職員は、日本国籍のみを有する者に限る。 -#### ○3 +#### 2 -最高裁判所は、下級裁判所に関する規則を定める権限を、下級裁判所に委任することができる。 +全ての裁判官は、前項の要件を欠くこととなった場合、次条第三項の規定に該当することとなった場合及び心身の故障のために職務を執ることができないと裁判により決定された場合を除き、公の弾劾によらなければ罷免されない。 -### 第七十八条 +#### 3 -裁判官は、裁判により、心身の故障のために職務を執ることができないと決定された場合を除いては、公の弾劾によらなければ罷免されない。裁判官の懲戒処分は、行政機関がこれを行ふことはできない。 +全ての裁判官は、法律の定める年齢に達した時に退官する。 -### 第七十九条 +### (最高裁判所の裁判官)第七十七条 最高裁判所は、その長たる裁判官及び法律の定める員数のその他の裁判官でこれを構成し、その長たる裁判官以外の裁判官は、内閣でこれを任命する。 -#### ○2 +#### 2 + +最高裁判所の裁判官は、法律の定めるところにより、その任命から四年を経過した後初めて行われる衆議院議員の総選挙又は参議院議員の通常選挙の際、日本国民の審査を受けなければならない。 + +#### 3 + +前項の審査において、裁判官の罷免を可とする投票が多数のときは、その裁判官は、罷免される。 -最高裁判所の裁判官の任命は、その任命後初めて行はれる衆議院議員総選挙の際国民の審査に付し、その後十年を経過した後初めて行はれる衆議院議員総選挙の際更に審査に付し、その後も同様とする。 +#### 4 -#### ○3 +最高裁判所の裁判官は、定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、これを減額することができない。 -前項の場合において、投票者の多数が裁判官の罷免を可とするときは、その裁判官は、罷免される。 +### (下級裁判所の裁判官)第七十八条 -#### ○4 +下級裁判所の裁判官は、最高裁判所の指名した者の名簿によって、内閣でこれを任命する。その裁判官は、法律の定める任期に限って任命され、再任されることができる。 -審査に関する事項は、法律でこれを定める。 +#### 2 -#### ○5 +下級裁判所の裁判官は、定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、これを減額することができない。 -最高裁判所の裁判官は、法律の定める年齢に達した時に退官する。 +### (最高裁判所による法令審査権及び合憲性審査)第七十九条 -#### ○6 +最高裁判所は、一切の条約、法律、命令、規則、条例又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する最終的な上訴審裁判所である。 -最高裁判所の裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、これを減額することができない。 +#### 2 -### 第八十条 +最高裁判所に、法令の合憲性審査を専門に行う憲法裁判部を設置する。 -下級裁判所の裁判官は、最高裁判所の指名した者の名簿によつて、内閣でこれを任命する。その裁判官は、任期を十年とし、再任されることができる。但し、法律の定める年齢に達した時には退官する。 +#### 3 -#### ○2 +憲法裁判部は、最高裁判所の長たる裁判官及びその他の裁判官の中から互選により選出される四人の裁判官で構成する。 -下級裁判所の裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、これを減額することができない。 +#### 4 -### 第八十一条 +下級裁判所は、具体的な訴訟事件において適用される条約、法律、命令、規則、条例又は処分の全部又は一部がこの憲法に違反するおそれがあると認める場合には、憲法裁判部に対し、当該条約、法律、命令、規則、条例又は処分がこの憲法に適合するかどうかの判断を求めることができる。ただし、これによって、下級裁判所が当該裁判を行うことを妨げない。 -最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。 +#### 5 -### 第八十二条 +憲法裁判部は、下級裁判所から判断を求められた場合には、当該求めについて審理を行い、当該判断に係る条約、法律、命令、規則、条例又は処分がこの憲法に違反しないと判断したときは、当該判断を求めた下級裁判所に対しその旨を通知し、当該判断に係る条約、法律、命令、規則、条例又は処分がこの憲法に違反すると判断したときは、最高裁判所の裁判官全員の判断を求めなければならない。 -裁判の対審及び判決は、公開法廷でこれを行ふ。 +#### 6 -#### ○2 +最高裁判所が、この憲法に違反すると判断した条約、法律、命令、規則、条例及び処分は、効力を有しない。 -裁判所が、裁判官の全員一致で、公の秩序又は善良の風俗を害する虞があると決した場合には、対審は、公開しないでこれを行ふことができる。但し、政治犯罪、出版に関する犯罪又はこの憲法第三章で保障する国民の権利が問題となつてゐる事件の対審は、常にこれを公開しなければならない。 +#### 7 + +憲法裁判部の組織及び運営については、法律でこれを定める。 + +### (裁判の公開)第八十条 + +裁判の口頭弁論及び公判手続並びに判決は、公開の法廷で行う。 + +#### 2 + +裁判所が、裁判官の全員一致で、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあると決した場合には、口頭弁論及び公判手続は、公開しないで行うことができる。ただし、政治犯罪、出版に関する犯罪又はこの憲法第三章で保障する国民の権利が問題となっている事件の口頭弁論及び公判手続は、常に公開しなければならない。 ## 第七章 財政 -### 第八十三条 +### (財政の基本原則)第八十一条 -国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない。 +国の財政は、国会の議決に基づいて、処理しなければならない。 -### 第八十四条 +### (租税法律主義)第八十二条 -あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。 +新たに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律によることを必要とする。 -### 第八十五条 +### (国費の支出及び国の債務負担)第八十三条 -国費を支出し、又は国が債務を負担するには、国会の議決に基くことを必要とする。 +国費を支出し、又は国が債務を負担するには、国会の議決に基づくことを必要とする。 -### 第八十六条 +### (予算案)第八十四条 -内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない。 +内閣は、毎会計年度の予算案を作成し、国会に提出して、その議決を経なければならない。 -### 第八十七条 +#### 2 -予見し難い予算の不足に充てるため、国会の議決に基いて予備費を設け、内閣の責任でこれを支出することができる。 +内閣は、当該会計年度開始前に前項の議決が得られる見込みがないと認めるときは、暫定予算案を作成し、国会に提出して、その議決を経なければならない。 -#### ○2 +#### 3 -すべて予備費の支出については、内閣は、事後に国会の承諾を得なければならない。 +内閣は、毎会計年度において、補正予算案を作成し、国会に提出して、その議決を経ることができる。 -### 第八十八条 +#### 4 -すべて皇室財産は、国に属する。すべて皇室の費用は、予算に計上して国会の議決を経なければならない。 +毎会計年度の予算は、法律の定めるところにより、国会の議決を経て、翌年度以降の年度においても支出することができる。 -### 第八十九条 +### (予備費)第八十五条 -公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、又は公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない。 +予見し難い予算の不足に充てるため、国会の議決に基づいて予備費を設け、内閣の責任でこれを支出することができる。 -### 第九十条 +#### 2 -国の収入支出の決算は、すべて毎年会計検査院がこれを検査し、内閣は、次の年度に、その検査報告とともに、これを国会に提出しなければならない。 +予備費の支出については、内閣は、事後に国会の承諾を得なければならない。 -#### ○2 +### (決算の承認及び会計検査院)第八十六条 -会計検査院の組織及び権限は、法律でこれを定める。 +国の収入支出の決算は、全て毎年会計検査院がこれを検査し、内閣は、次の年度に、その検査報告とともに、これを参議院に提出し、その承認を得なければならない。 + +#### 2 + +参議院は、決算報告書の審査結果を踏まえて、内閣に改善を求めることができる。 -### 第九十一条 +#### 3 -内閣は、国会及び国民に対し、定期に、少くとも毎年一回、国の財政状況について報告しなければならない。 +内閣は、第一項の検査報告及び前項の改善の内容を予算案に反映させ、国会に報告しなければならない。 + +#### 4 + +会計検査院の組織及び権限は、法律でこれを定める。 ## 第八章 地方自治 -### 第九十二条 +### (地方自治の基本原理)第八十七条 -地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。 +地方自治は、地域における行政及び立法が、住民の意思に基づき、自主的かつ自律的に行われることを旨として、実施される。 -### 第九十三条 +#### 2 + +地方自治体は、前項の地方自治の基本原理にのっとり、国と協力しつつ、その地域の実情に応じて、行政を執行し、及び条例を制定する。 + +#### 3 + +地方自治体の組織及び運営に関する事項は、法律及び条例でこれを定める。 + +#### 4 -地方公共団体には、法律の定めるところにより、その議事機関として議会を設置する。 +地方自治体の種類は、都道府県及び市町村とする。 -#### ○2 +### (地方自治体の議会、その選挙)第八十八条 -地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する。 +地方自治体には、法律の定めるところにより、その議事機関として議会を設置する。 -### 第九十四条 +#### 2 -地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有し、法律の範囲内で条例を制定することができる。 +全ての地方自治体の長及びその議会の議員並びに法律の定める地方公務員は、日本国籍のみを有する者に限る。 -### 第九十五条 +#### 3 -一の地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ、国会は、これを制定することができない。 +地方自治体の長、その議会の議員及び法律の定める地方公務員は、法律の定めるところにより、日本国籍を有するその地方自治体の住民が直接これを選挙する。 +#### 4 -## 第九章 改正 +地方自治体において住民投票が行われる場合には、当該住民投票は、法律の定めるところにより、日本国籍を有するその地方自治体の住民が、これを行う。 -### 第九十六条 +### (地方自治体の権能)第八十九条 -この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。 +地方自治体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有し、法律の趣旨に反しない範囲内で条例を制定することができる。 -#### ○2 +#### 2 -憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。 +地方自治体は、法律の範囲内で条例の定めるところにより、租税を課すことができる。 -## 第十章 最高法規 +## 第九章 最高法規 -### 第九十七条 +### (憲法の最高法規性)第九十条 -この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。 +この憲法は、国の最高法規であって、これに反する条約、法律、命令、規則、条例及び処分並びに国又は地方自治体によるその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。 -### 第九十八条 +### (憲法尊重擁護義務)第九十一条 -この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。 +国民は、この憲法を尊重しなければならない。 -#### ○2 +#### 2 -日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。 +国務大臣、国会議員、裁判官その他全ての公務員は、この憲法を擁護する義務を負う。 -### 第九十九条 +### (国家緊急権)第九十二条 -天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。 +内閣総理大臣は、我が国に対する外部からの武力攻撃、内乱、騒擾(じょう)、テロ行為、自然災害その他の緊急事態が発生した場合において、我が国の存立並びに憲法の基本秩序及び国民の基本的権利の維持のために、通常の統治機構の運用によっては、当該緊急事態を収拾することが著しく困難なときは、国家緊急事態を宣言することができる。 +#### 2 -## 第十一章 補則 +前項の国家緊急事態の宣言は、百日を超えてはならない。 -### 第百条 +#### 3 -この憲法は、公布の日から起算して六箇月を経過した日から、これを施行する。 +第一項の国家緊急事態を宣言するに当たっては、事前又は事後に、国会の承認を得なければならない。 -#### ○2 +#### 4 -この憲法を施行するために必要な法律の制定、参議院議員の選挙及び国会召集の手続並びにこの憲法を施行するために必要な準備手続は、前項の期日よりも前に、これを行ふことができる。 +内閣総理大臣は、第二項の期間を超えて国家緊急事態の宣言を継続しようとするときは、百日を超えるごとに、国家緊急事態の宣言の延長について、事前に国会の承認を得なければならない。 -### 第百一条 +#### 5 -この憲法施行の際、参議院がまだ成立してゐないときは、その成立するまでの間、衆議院は、国会としての権限を行ふ。 +第一項の国家緊急事態が宣言された場合においては、法律の定めるところにより、その宣言が効力を有する期間に限り、両議院の議員の任期を延長することができる。 -### 第百二条 +#### 6 -この憲法による第一期の参議院議員のうち、その半数の者の任期は、これを三年とする。その議員は、法律の定めるところにより、これを定める。 +内閣総理大臣は、第一項の国家緊急事態の宣言について、第三項若しくは第四項の国会の承認が得られないとき又はその宣言の必要がなくなったときは、直ちにこれを解除しなければならない。 + +#### 7 + +内閣総理大臣は、第一項の国家緊急事態が宣言された場合には、真に必要な限度において、緊急かつ必要な措置を講ずることができる。 + +#### 8 + +前項の場合において、内閣総理大臣が講ずる措置は、国民の生命及び財産を保護するために必要最小限度のものでなければならない。 + + +## 第十章 改正 + +### 第九十三条 -### 第百三条 +この憲法の改正は、国会が、各議院の総議員の五分の三以上の賛成で、憲法改正案を議決し、国民に提案してその承認を得なければならない。この承認には、法律の定めるところにより行われる憲法改正のための日本国民の投票において、有効投票の過半数の賛成を必要とする。 -この憲法施行の際現に在職する国務大臣、衆議院議員及び裁判官並びにその他の公務員で、その地位に相応する地位がこの憲法で認められてゐる者は、法律で特別の定をした場合を除いては、この憲法施行のため、当然にはその地位を失ふことはない。但し、この憲法によつて、後任者が選挙又は任命されたときは、当然その地位を失ふ。 +#### 2 憲法改正について前項の承認を得たときは、天皇は、直ちにこれを公布する。